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2017世界陸上ロンドン 20㎞競歩男子 レビュー
試合とは非常に繊細なことで結果が左右されます。
試合展開・天気・審判のジャッジなど。
しかし、そんなこともものともせず勝つ選手がいるからこそ
連覇があったり、メダルの常連選手がいる訳です。
男子20㎞競歩の日本選手にはそんな「強さ」が決定的に足りない、と思うに十分な
レースでした。
序盤、今季世界ランク2位の高橋選手が積極的に前に出ました。
そのまま、自分の得意なレース、つまり速いペースのレース展開に持ち込むのか
っと、思ってワクワクしましたが、そうはなりませんでした。
結局は、いつもより少し速い程度の、1㎞3分58秒程度。
これでは、多くの選手が付いてくることが出来、高橋選手にとって後半のレースは厳しくなります。
これは天候とジャッジが影響したのでしょう。
この日のロンドンは暑くなった、そして1週目からジャッジから注意を受けたと思ったということ。
そのことが、積極的なレースを高橋選手の気持ちから奪ってしまいました。
本人としては、調子が良かっただけに悔やまれます。
もし、50㎞競歩とスタート時間が入れ替わっていたら・・・
結果はだいぶちがったでしょう。これは日本の3選手に言えると思います。
松永選手も、リオ五輪で見せたような、積極的なレースが出来ませんでした。
試合までのアプローチで、自信をもってスタートラインに立てる、とまで
いかなかったようです。
しかし、五輪7位という記録に本人も周囲も、世界陸上での結果に期待をしました。
その想いが、動かない身体に焦りを生み、後半の失速過呼吸につながってしまいました。
日本の選手が速いレース展開を作らないなか、地元イギリスのボスワース選手が
積極的に前に出始めました。そして速い段階で失格しました。
正直、酷いフォームでした。しかし、それでも五輪・ダイヤモンドゲームで
結果が残せてきました。その過信が「自分はロンドンでは失格しない」となり
通常、2枚の警告がでたら、選手は積極的なレースを自重するのですが、
ボスワース選手は、一度は下がるものの、再びトップに立ちました。
これは、失格して当然の行為です。
そして、このボスワース選手の速い段階での失格が、藤澤選手を苦しくしました。
ボスワース選手は良くも悪くも、トップにたちレースを乱します。
そうなると、先頭集団の人数は減ります。
先頭集団の人数が減れば、メダル・入賞争いが絞られ、残っている選手のモチベーションは上がります。
まだ、余裕のあった10㎞~15㎞でボスワース選手が、もっと乱してくれれば、また違った結果になっていたでしょう。
気温、レース展開、ともに日本人向けにはなりませんでした。
ヨーロッパ開催でありながら、金と銅が南米の選手だっただけにレースが影響したのは疑う余地はないと思います。
今回の20㎞競歩のメダリストは、ロシアの選手以外はダークホースと言っていい2名が
メダルを獲得しました。
暑さに強く、当日のコンディションの良かった、選手が勝つ。
持ちタイムが良い選手がことごとく沈んでいく・・・
20㎞競歩の難しさをまざまざと感じさせるレースでした。
藤澤選手のコーチとして言えるのは、
彼は本当に良い状態でしたが、試合でのフォームは、トレーニングでしていたフォームとは
違うフォームで歩いてしまいました。終始、腰が引け、腕振りでは肘が高く引けませんでした。
メダル・入賞は、紙一重。
距離が短いだけに、全ての不安要素を克服できる強さが求められる
改めて感じさせられた20㎞男子でした。