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Vol.4 最終回 脳卒中で片麻痺の方との対談 自分の器の小ささを思い知らされたコメントとは。

片麻痺の方との対談最終回です。

トレーニングをコツコツと積み上げてきました。

最終回は、ここまでの対談ではあまり語らなかった自身の後ろ向きの心理的な感情、

それを乗り越えた部分と、乗り越えられていない部分、

麻痺よりも実はつらい障害など、を語ってくれています。

それと向き合いつつ、ご自身の最大の目標も教えてくれました。

――――――――――――――――――――

N:実は柳澤さんに言ってないことがあって、

柳澤:なんですか?

N:実は私自転車乗りだったんです。だけど、訪問リハビリの先生に「自転車にはもう一生乗れない」って言われたんです

それが、ショックでショックで。。。半身麻痺になったことよりそのことの方がショックでした。

で、訪問リハビリの先生に「自転車に乗れないなら、自転車と同じぐらいのスピードで歩けるようにしてくれ!」ってお願いしました。

そしたら、「週1回の訪問リハビリでそんなこと出来る訳無いでしょ!」って怒られました(笑)

けど、自転車で2回ほど行っている「しまなみ街道」を歩いてみたいですね。それが「夢」

それが出来たら死んでもいい(笑)

柳澤:死なれるのは困りますが(笑)

N:けど、自転車は諦めてます。バランスもそうだけど、左側がまったく見えない。

見えないといっても本当に見えないわけではなく

注意を払うことが出来ない。。。

柳澤:そうですか。。。ウォーキングをして、身体へはいろいろと大きな変化を感じられたと思いますが、

心理的な変化はありましたか?

N:やっぱり、メンタルのベクトルが内側より外側に向きましたね

柳澤:そうですか?最初からずっと外側だったと思いますが(笑)

更に外側を向いた!ってことですか?

N:(苦笑)根本的な私の性格は、前向きな方だとは思いますが、

それでもやっぱりこの身体で新しいことをいろいろと始めることは嫌でした。

柳澤:そうだったんですね。

N:はい、やっぱり怖いんですよ。いろんな意味で。

映画館とか行くのは嫌だったしだったし、トイレも困るし。

けど、チャレンジャーの自分がウォーキングをしたことで戻ってきました。

映画館も友達と待ち合わせていくようになったし

柳澤:ウォーキングを始める前は?

N:もう全然です。気持ちがもう折れてました。いろんなことに。

訪問リハビリの先生が言うには、みんな家に篭っちゃう。

私ほど外には出ないそうです。

その気持ちは本当に良く分かります。

もう、嫌ですもん、外に出るの。

柳澤:そうなんですね、危険もあれば、ひょっとしたら誰かに迷惑を掛ける、

ってこともありますしね。

そういう気持ちのなか、頑張れたのは何だったんでしょうか?

N:やっぱり次のステージに上がりたい!という気持ちではないでしょうか。

いろんな意味で。

自分だけだと、ステップアップできるのは僅かだけど、

先生と一緒だともっとステップアップできる。そんな気持ちはありました。

柳澤:怖さはあるけど、このままじゃ駄目だ、外にでないといけない、

という気持ちはある、それは脳卒中の方は皆さんお持ち?

N:それでも皆さんでないみたいですよ。

特に男性は。。。麻痺もそうですが、「高次脳機能障害」の負担は大きいです。

なかなか道も覚えられないし。

柳澤:自分自身へのもどかしさ、苛立ちもある

N:それもそうですね、やはり外出したら戻らないといけないけど、

(道が分からなくなり)戻れるか不安、もあります。

私も、今もありますから。

柳澤:けど、Nさんは乗り越えてきている。何で出来たと思いますか?

N:簡単に言えば、凄い過酷な人生じゃないですか、

いきなりこうなって(片麻痺)。

やられっぱなしなんで、やり返したいなと(笑)。

それだけです。

柳澤:そうですね、Nさん、たまに「柳澤をぎゃふんと言わせたい!」って言いますしね(笑)

N:もともと持っているものとしてメンタルの強さはあると思います。

柳澤:日常生活で心がけていることはありますか?

N:食事は全部自分で作る。ですかね。

右手だけしか使えませんが、料理を作るのは上手いし好きなので。

食事は、段取りをして作る、というのは脳にも良いと思います。

柳澤:病気をして一番感じたことは何ですか?社会の制度とか、バリアフリーな感じだとか、

医療制度とか、いろいろと健常な人たちと違って感じられる部分があると思いますが。

N:そういうのは無くて、一番思ったのは「日本で良かった」。

ということです。福祉関連はしっかりしてますし。

柳澤:それを感じさせた出来事があったんですか?

N:去年、主人が亡くなって今はまったくの一人です。

この身体で一人で生活できるのは、日本で都会に住んでいるからです。

そのことはいろんな方から言われました。

地方はやはりいろんなことが都会ほど充実していないそうです。

訪問リハビリや身体介護とかですね。

日本で、都心で、良かったと思いましたね。

柳澤:ですが、日常生活はガラッと変わりました。

N:そうですね、自転車に乗って200km平気で走り、

ジムでは汗を流して、身体を動かすことが人一倍好きでした。

その好きなことが「無くなった」のは本当に苦しかったですね。

けど、それがウォーキングにスライドできたのは良かったです。

今は、「しまなみ街道」を自転車のスピードは無理ですが、

ウォーキングで自転車の8掛け、いや6掛けでウォーキングしたい、

完走したいですね。
―――――――――――――――――

長い連載になりましたが、いろいろと考えることの多い対談となりました。

対談をする前は、いつも明るく冗談を言いながらトレーニングしているNさんだったので

常に前向きで強い人だなぁ、っと思っていましたが、

対談が進むと

誰よりも前向きな方だと思える部分もありながらも

多くの方と同じように病気の恐怖に負けそうになる弱さがあり。

そして、それに立ち向かう勇気もあれば、くじけそうになる心もある。

 

そんな当然な感情に触れられて、パーソナルトレーナーとして幅が広がった気がします。

不自由になったからこそ、

何かの不満があるのでは?っと思って聞いた

「一番感じたことは?」の問いに

「日本で良かった」っという感謝の言葉に、

自分の器の小ささを思い知らされた気分でした。

Nさん、突っ込んだ質問にも真摯に、楽しくご回答いただき、ありがとうございました!

 

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